曽根です。

突然前にも後ろにも動かなくなってしまったTGS様のオートマを、

壊れない安心オートマへオーバーホール修理です。

『こわれない・・・』 という名前を付けたのは、壊れてしまうリビルトオートマも現実に存在するからです。

TGS様も1年半前にリビルトオートマに交換されたそうです。


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調理台に乗せられたTGS様のオートマです。。。


安心オートマは、オリジナルブレーキバンド、オリジナルクラッチ板、

オイルシール、Oリングなどの消耗品は新品に交換ですが、

その他の部品は新品供給が無いので分解点検で再使用できないと判断したものは

点検された中古良品への交換でほぼ均一な品質に仕上げていきます。

なので、分解点検による現状確認が大変重要です。


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ロックボルトに液体パッキンが使用されていたので過去に何か不具合があったと思われます。

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インプットシャフトのスラストワッシャーが無かったようです。

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オートマの前面のパネルを外したところ。

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削れた摩擦材のカスがかなり大量に溜まってました・・・・。

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ブレーキバンドのレバーは3本ともにかなり大きなクリアランスができてしまってました。

バンドとギヤドラムが削れてしまってることが予想されます。

これはバックのバンド。 安心オートマは5mm程のクリアランスに調整されるところです。

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3速のバンド。  完成後のクリアランスは1mmになります。

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2速バンド、 ここも1mmに調整されます。


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オイルポンプからATケースへオイルを送るデリバリーパイプのOリングが効いてませんでした。

重要な油圧がまずここで漏れてました・・・。

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ポンプの固定ボルトに液体ガスケットが使用されてました。

漏れがあったのでしょうか。

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ポンプのドライブにも液体ガスケット入り込んでますね。。。

バルブボディに液体ガスケットが入り込むと誤動作の原因になり危険なので、液体ガスケットの使用には細心の注意が必要です。

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オイルポンプのクリアランスは0.15mm以上でしたので使用限界を超えてます。

ポンプは新品が無いので、クリアランス0.1mm以下の中古良品に交換です。






ヘッドを分解することでカムシャフトも抜けるし、チェックできる項目がだいぶ増えるので

今回TGS様は、ヘッドオーバーホールもチョイスされました。

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水路のプラグは錆びてドライバーでつつけば穴が開きそうでした。。

きれいになるので安心してください。。

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こっちのプラグも危なかったですね。

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シリンダーの測定

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下部で3/100でした。

ピストンリングは交換しましょう。

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ブロックの歪はありません。

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チェーンテンショナーの擦れ具合からみると10万キロ近く・・って感じですね。





ここからいよいよエンジンと分離してオートマの内部点検です。

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分離されました。




パワートレインを取り出して点検。

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フォワードクラッチ エンドプレート破損してます。。交換です。

おそらく前進でジャダーが出ていたと思われます。





パワートレインはすべて再使用できないほど削れてました。

新品パーツの供給が無いので、完全分解して点検された中古良品を使用することになりますが、

MINI全体から考えても、このような重要な部品を廃棄処分しなくてはいけないのはつらいことです。

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3速ドラム

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127mmでなければいけません。 0.9mm近く陥没してました。

ブレーキバンドで締め付けて、ギヤトラムが削れてしまう・・ということは本来ありえません。

安心オートマで使用する摩擦材ではこのようなことは全く起こりません。

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2速ドラム

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ギヤキャリア。 締めることでバックに入ります。

今回、前にも後ろにも動かなくなってしまったのはこの中に2つあるベベルギヤ両方が剥離破損したためです。



空回りしてしまうベベルギヤをご覧ください。

 

前進中にバックに入れたりすることで破損しやすくなりますが、

今回はベベルギヤの補強溶接も原因かと思われます。

安心オートマでは、完全分解による点検は行いますが他のギヤとの組み換えや加工は行いません。

破損の場合はアッセンブリーでの中古良品との交換で対応します。

今回は、使用できない部品が多数出ることが予想されたので、1基部品取りのATを用意しました。






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ブレーキバンドの摩擦材がすり減り、金属部分がドラムに当たっていたようです。

もちろん、摩擦材の材質にもよりますが、油圧漏れでブレーキバンドが絞められないと余計にすり減ります。

安心オートマは、徹底した油圧確保と高品質な摩擦材でほとんどすり減らないようになります。

ブレーキバンドの摩擦材は新品でも1mmの厚みしかないですので 本来擦り減る構造ではありません。


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ストレーナーのメッシュにもたくさんのカスが詰ってました。




エンジンをひっくり返して

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親子メタルのチェックと交換です。

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オートマのクランクは真っ直ぐに回ってないのですね。 

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メタルの減り方には特徴があります。

オートマの油圧管理にエンジン側のメタル交換が必須な理由は

『ワークスATのオートマ修理 一心同体のエンジンも分解』 をご覧ください


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4番のインテイクのカム山だけがすり減ってました・・。

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バルブリフターもひとつだけ大荒れ。。 潤滑に問題があったのでしょうか。

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今回は、オイルホール付のMEDの軽量バルブリフターを奢ります


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このように、現状を把握して使用できる部品とできない部品を、

整備書以上の基準で選別していきます。


そして組み付け&作動テスト編に続きます。。






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