曽根です。



オークションで購入して1ヶ月ほどでバックしなくなってしまい、

広島県から安心オートマらくらく便パックでのご依頼です。

広島から八王子

2001年 40thアニバーサリーLTD メーター距離36600㎞

購入前のそれまでのメンテ状況は不明です


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そのとおり、まったくバックしない状態で入庫しました。

前進も大きなタイムラグもあります。

ヘッドからのオイル漏れもあり、今回はヘッドオーバーホールするので

ピストンまで取り出してフルオーバーホールのメニューになります。





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ではここからは九州岩崎自動車からの報告をもとにお伝えします。


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汚れたままで診察台に乗せられ、

現況を見ながらそれまでのメンテの状態も推測して分解はじめます。

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キャメルでの受け入れでの報告にあったように、オイルメンテが良くなかったのは直ぐにわかります。

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各部からオイル漏れはありますが、コンバーターシールからの漏れも定番ですね。

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コンバーターから出たオイル。。 

色は真っ黒ですが水みたいにサラサラなオイルです。

賞味期限が切れたオイル・・って感じです。

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キャメルでの受け入れでもチェックしてましたが、ドレンボルトの摩耗粉は

ギヤドラムを削ってしまってると思われます。

ハリネズミのように見えますが、ミクロン単位の小さな鉄粉の粒子が磁力線に沿って並んでるのです。

指で触ると泥のようです。

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ウォーターポンプとブランクプラグを取り外し水路は高圧洗浄しましたが

水路からは錆汚れがたくさん出てきました。。。


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燃焼の状態はバラツキがあります。 

エンジン不調な感じが伝わってきます。

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コンバーター側のブローバイセパレーターは固まりかけたオイルで詰まってて手で持つと重さを感じます。


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コンバーターを外します。

大量に鉄粉が出ている場合、このコンバーター内の小部屋には鉄粉が大量に滞留して残ってしまいますので

安心オートマにする際には他の中古良品のコンバーターと交換させていただきます。


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こんなブランクプレートの隙間からもオイル漏れはあります。

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エンドプレートを開けると真っ黒。。 オイルが劣化して表面がタール化しています。

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フィルターはヨレヨレ・・・。  交換サイクルは長いのは想像できますが、

固いオイルでガンガン回すとこういう風にフィルターがヨレます。。

もしや、この水みたいなサラサラオイルは新しいうちは固かったのかも・・??


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フロントパネルを開けて見えるミッション内部もオイルの劣化からタール化しています。

久々に見る黒さです。 

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リバースのブレーキバンドは垂れさがってます。 かなり消耗しているもよう。

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3速バンドは大丈夫です。


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2速バンドの消耗もそれほどでもなさそうです。

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オイルポンプのクリアランスは安心オートマ基準の0.1mmより大きいので

リメイク品のポンプに交換します。

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ポンプローターのブッシュのクリアランスも

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拡大していました。


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プライマリースラストも拡大してます。 

これは組みつけの際に詰めます。

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バルブクリアランス測定。。。

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標準は0.35mm。。。  

エンジンが掛かってなくてもタペット音が大きかったのは容易に想像できます


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燃焼室内に圧力をかけてのリークダウンテスト

漏れがあります。

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圧縮上死点で漏れがあるバルブを軽くノックしてみると

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正常に戻りました。。

バルブの動きが良くないですね。

今回はヘッドオーバーホールも行いますのでこれも直ります。

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バルブの密着度が悪ければ燃焼も良くないですね。


Image1

おぉ、これはシリンダー壁にパウダー状の錆が浮いているのが見えます。

後ほど組みつけの前にホーニングしておきます。



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ブロック上面は 3か所測定してすべて良好です。



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シリンダー内径の消耗も 1/100mm程度で問題なし。





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タイミングチェーンにやや遊びが見られます。



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テンショナーパッドは消耗具合からの判断では7~8万キロくらいの消耗です。。

メーター距離が4万キロ以下とのことですので、アイドリングやチョイ乗りが多く

エンジンの稼働時間の割に走行が伸びなかった可能性がありますね。


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エンジンとオートマを切り離します。


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予想どおり、リバースバンドが掛かるドラムは大きく削れてました。

再使用できませんので、中古良品のギヤAssyと交換です。

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リバースのブレーキバンドの摩擦材もご覧のように剥がれてしまってます。

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そして、リヤブレーキバンドの合口は他のバンドに比べて狭くなってます。

これは滑り始めてから酷使されために熱で変形したものと思われます。



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ファードクラッチのエンドプレートも割れてました。

前進のジャダーもあったと思います。

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T&Rクラッチのクラッチ板はスリッドが消耗して無くなりかけてました。

この部分は走行距離に比例するところですが、オイルの状態によっても消耗度が変わります。


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Image1湿式多板クラッチはオイルの中で作用するクラッチなので、クラッチ板とプレートの間にオイルがしっかり浸透していて、その表面張力によって密着します。 

オイルの性能は密着力とクラッチの寿命に影響があります。 

今回のようにオイルメンテナンスが悪くオイルが劣化すればクラッチの寿命も短くなります。

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リバースのサーボピストンは2か所で切れてました。

これでは完全に油圧が抜けて、リバースバンドを動かすことができません。

今回のプロセスを推測してみました。。

オイル交換せずに乗ってた・・ことから暖機運転もあまりしてもらえなかった可能性もあります。

走行距離が少ないということは乗らない時間が長いと考えられます。そして久しぶりに乗るときの暖気運転が少ないとオイルラインにエアが入ったままギヤを入れられてしまうとそれだけでもエアハンマーでサーボピストンが抜けてしまう原因にもなります。

一度のエアハンマーでサーボピストンが抜けなくてもオイルラインにエアが入いると十分な圧力でブレーキバンドを締め付けることができません。  さらにそこにオイルメンテが良くなかったことでクラッチ板やブレーキバンドの接触面の摩擦が増えて摩擦剤の消耗が促進されたのではないかと・・。

ブレーキバンドの摩耗が進むと、サーボピストンのストロークが増え続け、ある時サーボピストンがシリンダーを突き抜ける位にストロークしてしまったときに一気にサーボピストンシールが切れてしまう・・というケースは実は多いのです。




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↑ この2枚目の写真は同じ症状の別のMINIの物です。  

横から見たところはこんな感じになってます。





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オートマの内蔵物をすべて取り出して、ケースもきれいに洗浄します。




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エンジンブロックの作業に入ります。

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クランクスラストはOKです。


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メインベアリングは1番側の上 4番側の下の消耗が大きいです。

コンロッドメタルはそれほどでもありませんが、オイルメンテナンスが悪かったのと、

オートマから大量の摩耗粉が出ていたので距離の割には消耗しています。

この親子メタルの部分はエンジン側のオイルの通り道です。

クリアランスが広がればここから油圧が逃げてしまうことになり油圧に影響するのです。


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カムを抜いたところ。バルブリフターが見えてますが、コレが奇跡的と言ってよいのでしょうか・・・・

表面にキズがなく再使用できる状態だったのです。

他の部分にはオイルメンテナンスの悪さがもろに悪影響として出ていたのに

バルブリフターが無傷というのは要求する潤滑性能に違いがあるのでしょう。



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抜き取ったピストン、コンロッド。。

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オイルリングはカーボンによって張り付いてしまってます。


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Image1ほとんどのMINIがこういう状態になってますね。

キャメルでお奨めしているオイル添加剤SOD-1はその洗浄機能でピストンリングに固着したカーボンを

飴玉をしゃぶるように少しづつ溶かしていくことが期待できます。

ただ、カーボンの壁が厚すぎると浸透できずに期待した期間で効果が出ない場合もあります。

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シリンダーヘッドのオーバーホールに入ります。


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ヘッドガスケットからオイル漏れがあったので歪の疑いもあります。

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横方向 OK

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斜め方向 OK

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斜め方向 その2 OK

ヘッドの歪は大丈夫でした。

ヘッドガスケットの交換だけでイケそうです。


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ロッカーアームを分解してアームのスポット除去やシャフトの状態を確認します。

そして、きれいに磨きます。

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簡易塗装ですがマスキングしてブルーマイカでペイントしておきます。

これはヘッド、ブロックまでオーバーホールした時のオプションです。

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ピストンはキレイに磨いて、ピストンリングも交換しました。

この状態をできるだけ保ちたいですね。

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ヘッドは完全分解して、各パーツ点検 研磨して組みつけ準備です。

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パウダー状の錆が見えたシリンダー壁もホーニングできれいになりました。



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消耗が見られた親子メタルもすべて交換。。。

先ほども書いたように、エンジン側のメタルクリアランスも油圧に影響する部分なので

安心オートマでは必ず交換するパーツです。


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キチッとトルクで絞めて、クランクが手でスルスル回ることを確認しておきます。


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消耗部品はすべて交換され安心オートマも完成です。

摩擦材、シール類など重要な部分は日本製で安心オートマオリジナルです。

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フロントプレートとATケースの干渉がないか確認して組みつけていきます。

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オリジナルのスラストスペーサーで

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プライマリースラストは理想値まで追い込めました。


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オイルポンプは安心オートマ専用のリメイク品 理想のクリアランスに再生してあります。



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各部シールや

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コンバーターシール等を組みつけていきます。





最終仕上げに入ります。

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ハーモニックバランサー取付け

*ドゥトレーディングさんのハーモニックバランサーのページ


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バルブは磨き摺合せでメンテされ、燃焼室もきれいになりました。

もちろんバルブシールも交換したのでオイル下がりもこれで心配なし。。


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ロッカーはこんなに綺麗になりました。

フィラーキャップを開けて中を見るのが楽しくなりますね。。♪


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ちなみに入庫したときはこのくらい汚れてましたねー(笑)




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インヒビタースイッチはPとNで導通するところを探して取付けます。


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漏れ率100%の純正の樹脂製のキックダウンから

対策品の三和オリジナルをさらにベアリング追加して漏れにくくしたキャメルオリジナル。

現在のバージョンは赤色。。



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最終段階のテストに向けてエンジンに補機を取り付け


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実車に載せて エンジン掛けて冷間油圧チェック

問題ないのでそのまま実走テストで最終チェックです。





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これも安心オートマのお約束。。。

約30㎞の実走行テストで、ギヤの入り方、変速の状態、エンジンの具合もチェックします。

すべて良好。。


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戻って温間油圧測定。。

前進油圧 7kg   OKです



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バック油圧 11.5kg   良好ですね。


エンジン、オートマの変速、油圧などはすべてOK


しかし、パーキングが深く入りすぎてバックしたときに、パーキングに引っ掛かりが少し感じられたので





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前面パネルを再度外して調整します。


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バルブボディのカバーを外して

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ここを調整して引っ掛かり解消させて完成。。



乾杯1

今回も良い安心オートマができました。

エンジン本体もフルオーバーホールで新車みたいにリフレッシュです。

快調なエンジンで気持ちのいい変速をお楽しみください。








では、本編に戻ります!!

バックしなくなって、広島県から安心オートマラらくらく便パック + ラバコンも交換です。





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