曽根です。



CIMG0692

今回安心オートマにするTNK様のMINIは、4年前に他店で購入時にリビルトATにしてもらったのだそうです。

P1070003

購入後2年間で4000㎞走行して、一昨年初めてキャメルで車検でご来店いただいた時には

すでに大量の摩耗粉がドレンボルトに付いてました

この時すでにギヤドラムが削れてしまっていることがわかります。

すでにリバースのストールテストはNGでした。。

CIMG1833

その後、途中でPECSを取り付けて、心配しながら、2年で3000㎞だけ走って今回入庫いただいた時のドレンボルトがこれです。

オイルが切れればもっとハリネズミのようにツンツン立って見えますが、

ノーマルのオイルフィルターは素通りしてしまうほどの微粒子で、ギヤドラムが削れるとこのような細かな鉄粉がでてきます。

ドレンボルトにはこれ以上の鉄粉は付着することができません。 鉄粉バロメーターとしては限界値です。

PECSにどれほどの鉄粉が付いているのかも注目です。

症状は初来店の2年前から更に進行して前進、バックともに滑ってる状態です。






~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~


ではここからは九州岩崎自動車からの報告をもとにお伝えします。

DSCF5789

いつものように診察台に乗せて分解開始しますが、

今回はどこまで部品が流用できるか・・が問題です。

DSCF5769

前回このミッションをオーバーホールしたところの通し番号でしょうか・・・


DSCF5773

キャメルオートでの分解報告でも写真ありましたがロッカーの錆びは凄いですね。

今回はヘッドオーバーホールするのでこの部分は綺麗になりますが、その他のところがどうなってるのか・・


DSCF5778

キックダウンに連動するロッドの調整が一番下になってました。

走行中や変速時にスリップがある場合に低回転でトルクの低いところで変速して滑りにくくしようと

このような調整がされるケースが多いようです・・・

DSCF5780

コンバーター側のオイル漏れ

DSCF5790

ブローバイパイプが詰まってるので内圧が上がってオイル漏れを誘発してたようです。


DSCF5792

組みつけの際に白い液体ガスケットが使われています。。

DSCF5793

ここのリビルトオートマは、この白い液体ガスケットを使用してることが多いので

リフトアップして目視点検する際のチェックポイントになります。

DSCF5794

普通に流通しているパッキンなので、もちろん無関係な他のショップでも使用されてる場合もありますが、

オートマの組み付けに使われてたら要注意。。。

DSCF5796

オイルは抜き取った後なので、レベルゲージに付着したオイルが参考になります。

かなり汚れていたように思われます。




ここでPECSを分解してみます。

DSCF5977

これは予想をはるかに上回る凄い量の鉄粉です。

Image1

PECSを取り付けてからたったの2000㎞走行で PECSの磁石は満タン。。

PECSはいい仕事してくれてました。

しかし、もしかすると数百キロ走行でも同じ状態だったのかもしれません。

4年前にオートマ修理する前から出続けていた大量の摩耗粉は、オーバーホールしてもコンバーター内に残り、

ノーマルの紙オイルフィルターでは濾過することができずに通過してしまい、

そのままオートマ内に滞留し続けた結果

2次摩耗、3次摩耗の悪循環の連鎖が引き起こされていたのではないでしょうか。

今回は、更に不良リビルトオートマから出てくる大量の1次摩耗の鉄粉と合わさって、とんでもない量の鉄粉がオイルと一緒に循環し続けていたのでしょう。

この大量の摩耗鉄粉によってオートマとエンジンはどうなっているのでしょう。。。。。




DSCF5979

綺麗に鉄粉は拭き取って、

DSCF5980

再組み付けを待ちます。。。 

PECSは定期的な清掃で永久に使用できます。



DSCF5797

コンバーターのボルトの回り止めのプレートを起こすには・・

DSCF5800

専用ツールを使います。 

貫通ドライバーだと歯こぼれしたことがあります・・・。

DSCF5801

燃焼の状態は悪くはなかったようです。

DSCF5802

コンバーターの固定ボルトに回り止め剤・・じゃなくて液体ガスケットが使われてました・・

DSCF5804

コンバーターシールからオイルが漏れてました。

DSCF5807

先ほどのブローバイパイプが詰まってたのも一因ですが

コンバーターシールに気泡のようなものが出てましたのでシールそのものにも原因がありました。


DSCF5809

オートマケースやハウジングはかなり汚れた状態です。

オートマ修理の時に綺麗にしたとすると、7000㎞でこの汚れが付くとは何が起こっていたのか・・。

DSCF5810

DSCF5811

クリアランスプレートが入っていませんでした。


DSCF5813

フロントカバーを開けてブレーキバンドの消耗をチェックします。

この汚れはオイルが高熱と劣化でタール化したようです。

品質の悪い鉱物油を長期間使用した場合もこんな汚れ方をしますね・・・

あれ? ブレーキバンドのレバーがだいぶ下がった位置で調整されています




比較してもらうために、先に正常なものをご覧ください。

DSCF5970

これは安心オートマで正常な状態の位置です。 ↑





こちらが今回の物 ↓

DSCF5816

かなり下の位置で固定されているのがわかります。

DSCF5820

その位置から締め付ける方向に動かしたのがこの位置。




DSCF5817

3速のレバーも同様に下がった位置で固定されています

DSCF5821

3速レバーをそこから締め付ける方向に動かしたところ。


DSCF5818

2速も同様に下がった位置で固定されてて、

DSCF5822

この位置まで下げて締まります。


レバーの固定位置から推測すると、このオートマを4年前に組み付ける際に、

すでにギヤドラムがすり減った状態だったか、ブレーキバンドがすり減った状態だったのか

いずれにしても、正常なドラムに正常なブレーキバンドを組みつけた安心オートマとのは大きく違っていることがわかります。



DSCF5823

オイルポンプは油圧の源泉なので、これが厳格に検査が必要なパーツです。

クリアランスは0.15mmのシックネスがスルスルでした・・

これは使えません。

DSCF5824

内側のブッシュも測定・・

DSCF5825

DSCF5827

DSCF5828

摩耗でガタガタでした。。。


オイルポンプは現在、リプロダクトに成功したので新品より精度の高いポンプが使用できます。

今回もそのリプロダクト品を使用することになります。



DSCF5830

プライマリースラストは1mmを超えてました。

DSCF5832

摩耗でこのクランクシャフトは再使用できません。。


DSCF5834

タペットのクリアランスは・・・

DSCF5835

規定の2倍ですね。。  大きなタペットノイズが聞こえてきそうです・・


DSCF5843

リークダウンテストは本来 運搬される過程でバルブに異物が

噛みこんでテスト走行に支障の有無を検査しています


また前回のようにバルブの固着などの有無などを検査 

またブローバイ等へ
圧縮の漏れの有無の検査の為です

DSCF5845

今回も漏れのあるバルブを軽くノックしたら

DSCF5846

正常にもどりました。

今回もヘッドオーバーホールまで行いますのでこれも直ります。


DSCF5847

ヘッド外しました。






DSCF5852

シリンダーの内径測定して消耗度をみます。

DSCF5853

DSCF5856

DSCF5857

シリンダー内径は樽型の消耗ではなく台形に近い消耗でした。

このブロックを再使用するならボーリングが必要です。




DSCF5860

タイミングカバー側のブローバイセパレーターも詰まってました。

これではクランク内圧の逃げ場がなくオイル漏れしますね・・・。




DSCF5862

タイミングチェーンが緩く

DSCF5863

踊った状態でした。。

DSCF5865

オートマを修理して換装する段階で必ず確認しなくてはいけないところなんですが・・・


DSCF5868

テンショナーパッドの消耗からは走行距離4万キロ台を裏付けることができます。

しかし、たった4万キロなのに不良オートマの摩耗粉でエンジンも数十万キロ以上の消耗です。。


DSCF5869

エンジンとミッションを分離します。

DSCF5871

ここにも、あの白い液体ガスケットが使用されてます。

DSCF5873

ギヤドラムとブレーキバンドが見えてきました


DSCF5877

パワートレインを取り出しました。

ドライバーの先は、2速ドラムですが大きく陥没してしまってます。


DSCF5878

3速ドラムも大きく陥没です。

DSCF5879

大量の微粒子の鉄粉の発生源です。


DSCF5885

奥の2速のブレーキバンドは大きく消耗しています・・・

DSCF5886

2速ブレーキバンドです。

金属どおしが接してドラムを削ってる部分もありますが、

この摩擦材そのものがドラムを攻撃してしまってます。



Image1

安心オートマで使用するブレーキバンドの摩擦材の素材は『和紙』に近いものです。

湿式多板クラッチと同様に、オイルに浸かった中での動力伝達は直接素材どおしが接するというより

オイルを介した表面張力によって力が伝わる・・・・と考えています。






その2、3速ドラムの消耗の原因に考えられるもう一つの原因が

このリビルトオートマのバルブボディ改造があります。

DSCF5888

エンゲージメントコントロールバルブのスプリングを大きく
カットしている事が原因と考えます

DSCF5889

本来60~62ミリでなければならない所 49ミリまでカットされています

その他、油路の穴を大きく加工してあるところもあるので、

残念ですがこのバルブボディは再使用不可です・・・・・



DSCF5894

2速、3速のスリップ、変速にはブレーキバンドが関係してきますが

1速の伝達はファードクラッチによるのでブレーキバンドは関係ありません。



DSCF5895

ファードクラッチは前進側1.2.3速を受け持ちますが 

そのファードクラッチの油圧を保つCリングが消耗し滑落してしまってました


DSCF5896

ここに付くCリングです。

リビルトで修理した時は付いていたはずですから7000㎞以内で消耗して滑落してしまったと思われます。




DSCF5898

3速ブッシュの消耗測定

DSCF5899

大きく消耗してますのでブッシュ打ち替えが必要です。


DSCF5901

既に再使用不可となったクランクですが、

DSCF5903

スラストクリアランスも大きく、こちらの数値でもクランク再使用不可でした。


DSCF5904

取り出された親子メタル

DSCF5905

特に中央の6個のクランクメタルはブロンズまで出てしまってて

その消耗の大きさを物語ってます。。

とても走行4万キロのメタルではありません。。

不良オートマから出た鉄粉でシリンダーやメタルを攻撃してエンジンまで消耗させてしまってたのです。


DSCF5910


エンジンブロックの消耗も大きく、フルオーバーホールで再生する方法もありましたが、

オートマ内部部品もほとんど再使用できないということもあり、

TNK様と相談して別のエンジン、ミッションをベースに安心オートマに換装する方法を選びました。



DSCF8709

良好な中古エンジンをベースに選びました。。。

DSCF8724

親子メタル交換

DSCF8725

クランク、コンロッド組みつけ

DSCF8729

規定トルクで締め付け後、クランクが手でするする回ることを確認します

DSCF8731

別のドナーミッションをベースに安心オートマが出来上がりました。



DSCF8759

エンジンと安心オートマ合体。。。

DSCF8762

リプロダクトされたオイルポンプ。。 新品より高精度!


DSCF8784

ヘッドも別のエンジンの物をベースにオーバーホールしました。

鉄粉が大量に閉じこめられたコンバーターも再使用はしないので、

エンジン、ミッションはすべて別のドナーから再生され、文字どおり生まれ変わりました。

DSCF8789

ヘッドを組みつけて、

DSCF8791

タペット調整して・・

DSCF8794

すべてがリフレッシュされました。

DSCF8796

PとNを感知するインヒビタースイッチの動作確認して


DSCF6156

きれいに清掃されたPECSとハーモニックバランサーも取り付けられました。

DSCF5987

完成です。

DSCF5990

完成検査の試運転のために補機を付けて試験車両に積み込みます。

DSCF5992

エンジン始動。。  冷間での油圧をチェックしてから

実際の走行テストに出ます。

DSCF6003

いつものように約30㎞のテスト走行。

エンジンの状態、オートマは発進時の状態、変速ショックなど

低速から高速まで様々な道路状況でテストして問題ないのを確認して再び工場へ。。 

DSCF6147

最後に、水温はもちろん油温も十分上がった状態での温間油圧のチェックです。

DSCF6011

前進油圧 6.6kg   OKです。

DSCF6012

リバース油圧  11.6kg   十分ですね。


DSCF6149

エンジンの燃焼状態も良好です。

すべて合格で出荷!!

DSCF6153

オイルを抜いて発送です。



乾杯1

今回はいやな過去とは縁を切って(笑)エンジンもオートマもすべてが生まれ変わりました。

もう心配せずに気持ちのいいシフトをお楽しみください。

暖機運転とオイルメンテナンスはお願いします



本編に戻ります↓

TNK様 ついに決行!車検に安心オートマにラバコン交換とオールペイントで超リフレッシュヽ( ´ー`)ノ







にほんブログ村 車ブログ MINI(ミニ)へ
キャメルはブログランキング参加しています

キャメルオート オンラインショップ
キャメルオート オンラインショップ
PECSや売れ筋パーツ販売してます



 
ローバーミニ専門店 キャメルオート
          http://camel-auto.co.jp/ TEL.0120-810-002