曽根です。
突然、前にも後ろにも動かなくなってしまいレッカー入庫したKT様のMINI。
インジェクション初期型の93年 走行62000㎞です。
任意保険のレッカーサービスで入庫でした。
KT様。。いろんな乗り物が大好きです。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*
では、故障したオートマを分解して原因究明してから安心オートマに変身する作業レポートです。
手術台にのったエンジン&ミッションだけからどんな使われ方をしてどんなメンテナンスをされてきたのかを推測するドラマみたいなもんです。
ウォーターポンプとコアプラグを外してから高圧洗浄機で水路洗浄します。
水路はやや汚れが溜まっていた状態のようです。
すでにPECS装着されていてオートマから出る摩耗粉による2次摩耗は抑えられてます。
ドレンボルトに付着した摩耗粉は標準的です。
内部はきれいですね。
オイル管理は良かったと思われます
オートマのフロントパネルを開けてブレーキバンドチェック。
これはリヤバンドですが、少しストロークが大きめです
安心オートマに組上げた状態では5㎜程のストロークにセットされます。
3速バンドは標準的な消耗です。
安心オートマでは1㎜のストロークでセットします。
この動きが油圧がかかってからドラムを締め付けるまでのタイムラグとなります。
2速バンドも3速と同じくらいでした。
油圧の源泉 オイルポンプのクリアランスは0.13㎜のシックネスがスルスル。。
サービスマニュアルでは0.15㎜までとなっていますが、これから10万キロ以上活躍してもらうことを考えて
安心オートマでは0.10㎜以下の基準でリメイク品と交換します。
スラストのクリアランスは大きすぎて市販のスペーサーでは間に合わず・・
ワンオフで製作したものを使用します
0.1㎜以下まで追い込みました。
1番シリンダーは IN、EX両方から漏れがありました。
バルブの頭をコツンとしてあげたら・
戻りました。 現状ではエンジン掛かれば問題ないレベルです
テンショナーパットの消耗から走行62000㎞は実走行のようですね。
もちろん新品に交換します。
ギヤドラム外側だけを見ればそのまま再使用できるレベルなんですけど、
後ほど分解する左のギヤキャリアの中身に問題がありそうなんですよね。。
ブレーキバンドは部分的な剥離もなく正常摩耗です。
湿式多板クラッチの消耗も正常の範疇でしょう
こちらのクラッチ板は溝が無くなってそろそろ交換時期でしたのでちょうどよかったですね。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
この湿式多板クラッチは金属板を挟んで重ねて圧力を伝えるのですが
それそれの間にはオイルが浸透しているので直接接触して動力を伝えるわけではありません。
クラッチ板と金属板の間の油膜が表面張力のように働いて圧着しています
その薄い油膜の中に摩擦材が剥がれたカスやオイルに混じった微細な鉄粉が多ければ
表面張力の結合力が弱くなりその圧着力も弱くなることで滑りを生じやすくなります。
キャメルオートではPECSで微細な鉄粉を除去して、SOD-1でカスを包み込んできれいにすることで
圧着力を高め、滑りを防止することでクラッチ板やブレーキバンドの寿命を延ばせると考え皆様に提案させていただいています。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
3速ドラムはシフトのショックを和らげるために何度もブレーキバンドによって掴まれるので
他のドラムよりもちょっと仕事量が多いこともあってブッシュが消耗しやすいです。
これも消耗が大きかったのでブッシュ交換になります。
さて、今回問題であろうと思われるギヤキャリアの分解です。
向かい合ってる傘型のギヤがベベルギヤ
予想通り赤で囲んだ2つのベベルギヤ両方が剥離してました。
これでまったく動力を伝えられなくなって前にも後ろにも動かなくなってしまったのです。
この対になる2つのリングギヤには打刻がありますが、
同じ、もしくは非常に近い番号でなければなりません。
これは同じ番号のものが使われているので正しい組み合わせでした。
ベベルギヤの外側に刻まれたアルファベットは同じでしたので正しい組み合わせでした。
このように正しい組み合わせでも剥がれてしまうことがありますが、前期型に多いようです。
インジェクション初期は1000㏄から1300㏄にパワーアップしたばかりで
ブレーキバンドの摩擦力の強さなども含めて各部の伝達強度がバランスよくなかったのではないかと思われます。
ブレーキバンドの摩擦力もやみくもに強ければ良いというものでもない・・・ということですね。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
この部分を溶接補強して改善を試みたリビルトミッションもありましたが、結果は芳しくありませんでした。
下の2件は過去の事例で溶接したベベルギヤが剥がれてしまったリビルトオートマのケースです。
TGS様 突然動かなくなった あるリビルトオートマの分解点検編 ベベルギヤ剥離
YMD様 突然動かなくなったのは 溶接したベベルギヤが原因でした
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
ではエンジン側です。
クランクのスラスト測定
規定より大きいのでスラストメタルは交換です。
メインメタルとコンロッドメタルも交換します。
オートマのバルブボディを出たオイルがエンジンの潤滑をするのですが
クランクとコンロッドメタルのクリアランスが大きいとそこから油圧が逃げてしまうので
バブルボディに掛かる油圧が減ってしまいます。
安心オートマが、オートマだけの修理ではなくこのようにエンジンのメタルクリアランスも重要視しているのは
エンジンとオートマが同じオイルを共有する一心同体な構造だからです。
メタル交換、スラスト交換して組み付け作業です。
ブレーキバンド、クラッチ板、オイルシール等 すべてリニューアルされて出来上がった安心オートマ。
エンジンと合体
インヒビタースイッチの作動確認もここで行います。
PECS用のフィルターパッキンを慎重に組み込み
PECSについた鉄粉をお掃除。
鉄粉をキレイにすれば新品同様。。。交換不要です。
キックダウンレバーの調整して
対策品のキックダウンスイッチに接続。
テスト運転のために、テスト車両に載せます。
補機類を取り付けて走れるようにします。
ここで冷間油圧のチェックしてから実際に走行させてのテストに移ります
約30㎞程ですがこうして実際に走行することで
ギヤの入り、変速、シフトダウンなどをチェックします。
この実走行による最終チェックで違和感があればもう一度分解してチェックする覚悟があるから
信頼の安心オートマが出来上がるわけです。。
戻ってきて温間油圧測定。。。
前進側 6.8㎏ 良好です
リバース 11.6㎏ 良好ですね
安心オートマ完成です。
実際に走行した後のプラグをみて燃焼もチェック。。。 イイですね。
丁寧に箱詰めされてキャメルオートへ送られます。
今回も良い安心オートマができました。
安心して気持ちのいいシフトを安心してお楽しみください。
では、本編へどうぞ・・・
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突然、前にも後ろにも動かなくなってしまいレッカー入庫したKT様のMINI。
インジェクション初期型の93年 走行62000㎞です。
任意保険のレッカーサービスで入庫でした。
KT様。。いろんな乗り物が大好きです。
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では、故障したオートマを分解して原因究明してから安心オートマに変身する作業レポートです。
手術台にのったエンジン&ミッションだけからどんな使われ方をしてどんなメンテナンスをされてきたのかを推測するドラマみたいなもんです。
ウォーターポンプとコアプラグを外してから高圧洗浄機で水路洗浄します。
水路はやや汚れが溜まっていた状態のようです。
すでにPECS装着されていてオートマから出る摩耗粉による2次摩耗は抑えられてます。
ドレンボルトに付着した摩耗粉は標準的です。
内部はきれいですね。
オイル管理は良かったと思われます
オートマのフロントパネルを開けてブレーキバンドチェック。
これはリヤバンドですが、少しストロークが大きめです
安心オートマに組上げた状態では5㎜程のストロークにセットされます。
3速バンドは標準的な消耗です。
安心オートマでは1㎜のストロークでセットします。
この動きが油圧がかかってからドラムを締め付けるまでのタイムラグとなります。
2速バンドも3速と同じくらいでした。
油圧の源泉 オイルポンプのクリアランスは0.13㎜のシックネスがスルスル。。
サービスマニュアルでは0.15㎜までとなっていますが、これから10万キロ以上活躍してもらうことを考えて
安心オートマでは0.10㎜以下の基準でリメイク品と交換します。
スラストのクリアランスは大きすぎて市販のスペーサーでは間に合わず・・
ワンオフで製作したものを使用します
0.1㎜以下まで追い込みました。
1番シリンダーは IN、EX両方から漏れがありました。
バルブの頭をコツンとしてあげたら・
戻りました。 現状ではエンジン掛かれば問題ないレベルです
テンショナーパットの消耗から走行62000㎞は実走行のようですね。
もちろん新品に交換します。
ギヤドラム外側だけを見ればそのまま再使用できるレベルなんですけど、
後ほど分解する左のギヤキャリアの中身に問題がありそうなんですよね。。
ブレーキバンドは部分的な剥離もなく正常摩耗です。
湿式多板クラッチの消耗も正常の範疇でしょう
こちらのクラッチ板は溝が無くなってそろそろ交換時期でしたのでちょうどよかったですね。
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この湿式多板クラッチは金属板を挟んで重ねて圧力を伝えるのですが
それそれの間にはオイルが浸透しているので直接接触して動力を伝えるわけではありません。
クラッチ板と金属板の間の油膜が表面張力のように働いて圧着しています
その薄い油膜の中に摩擦材が剥がれたカスやオイルに混じった微細な鉄粉が多ければ
表面張力の結合力が弱くなりその圧着力も弱くなることで滑りを生じやすくなります。
キャメルオートではPECSで微細な鉄粉を除去して、SOD-1でカスを包み込んできれいにすることで
圧着力を高め、滑りを防止することでクラッチ板やブレーキバンドの寿命を延ばせると考え皆様に提案させていただいています。
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3速ドラムはシフトのショックを和らげるために何度もブレーキバンドによって掴まれるので
他のドラムよりもちょっと仕事量が多いこともあってブッシュが消耗しやすいです。
これも消耗が大きかったのでブッシュ交換になります。
さて、今回問題であろうと思われるギヤキャリアの分解です。
向かい合ってる傘型のギヤがベベルギヤ
予想通り赤で囲んだ2つのベベルギヤ両方が剥離してました。
これでまったく動力を伝えられなくなって前にも後ろにも動かなくなってしまったのです。
この対になる2つのリングギヤには打刻がありますが、
同じ、もしくは非常に近い番号でなければなりません。
これは同じ番号のものが使われているので正しい組み合わせでした。
ベベルギヤの外側に刻まれたアルファベットは同じでしたので正しい組み合わせでした。
このように正しい組み合わせでも剥がれてしまうことがありますが、前期型に多いようです。
インジェクション初期は1000㏄から1300㏄にパワーアップしたばかりで
ブレーキバンドの摩擦力の強さなども含めて各部の伝達強度がバランスよくなかったのではないかと思われます。
ブレーキバンドの摩擦力もやみくもに強ければ良いというものでもない・・・ということですね。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
この部分を溶接補強して改善を試みたリビルトミッションもありましたが、結果は芳しくありませんでした。
下の2件は過去の事例で溶接したベベルギヤが剥がれてしまったリビルトオートマのケースです。
TGS様 突然動かなくなった あるリビルトオートマの分解点検編 ベベルギヤ剥離
YMD様 突然動かなくなったのは 溶接したベベルギヤが原因でした
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
ではエンジン側です。
クランクのスラスト測定
規定より大きいのでスラストメタルは交換です。
メインメタルとコンロッドメタルも交換します。
オートマのバルブボディを出たオイルがエンジンの潤滑をするのですが
クランクとコンロッドメタルのクリアランスが大きいとそこから油圧が逃げてしまうので
バブルボディに掛かる油圧が減ってしまいます。
安心オートマが、オートマだけの修理ではなくこのようにエンジンのメタルクリアランスも重要視しているのは
エンジンとオートマが同じオイルを共有する一心同体な構造だからです。
メタル交換、スラスト交換して組み付け作業です。
ブレーキバンド、クラッチ板、オイルシール等 すべてリニューアルされて出来上がった安心オートマ。
エンジンと合体
インヒビタースイッチの作動確認もここで行います。
PECS用のフィルターパッキンを慎重に組み込み
PECSについた鉄粉をお掃除。
鉄粉をキレイにすれば新品同様。。。交換不要です。
キックダウンレバーの調整して
対策品のキックダウンスイッチに接続。
テスト運転のために、テスト車両に載せます。
補機類を取り付けて走れるようにします。
ここで冷間油圧のチェックしてから実際に走行させてのテストに移ります
約30㎞程ですがこうして実際に走行することで
ギヤの入り、変速、シフトダウンなどをチェックします。
この実走行による最終チェックで違和感があればもう一度分解してチェックする覚悟があるから
信頼の安心オートマが出来上がるわけです。。
戻ってきて温間油圧測定。。。
前進側 6.8㎏ 良好です
リバース 11.6㎏ 良好ですね
安心オートマ完成です。
実際に走行した後のプラグをみて燃焼もチェック。。。 イイですね。
丁寧に箱詰めされてキャメルオートへ送られます。
今回も良い安心オートマができました。
安心して気持ちのいいシフトを安心してお楽しみください。
では、本編へどうぞ・・・
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