曽根です。



新車からずっと乗り続けてるTMK様

2000年式のメイフェア。

新車から診てもらってたディーラーがミニの修理をしなくなって、58000kmの時、

初めてキャメルに入庫したのが2013年のオーバーヒート でした。

暖気運転は少なめ・・1回の走行距離も少なめ、オイル交換サイクル長め・・・

というオートマMINIにとってはシビアコンディションな使われ方だったようです。

キャメルに来てからは乗る前の暖機運転と定期的なオイル交換は守っていただいてますが、

最初の入庫当時からオートマのタイムラグは少々気になってました。

2015年67000kmのオイル交換でPECS取り付けて、

翌年のオイル交換では鉄粉はだいぶ減ったのですが平均よりは多め

2017年7月、75000kmのオイル交換時の点検で、リバースの滑りが発覚


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それから、リバースの滑りは日に日に増えて・・

そして、11月の車検と同時に安心オートマにすることになりました。

 
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お孫さんが運転するようになるまでこのMINIには元気でいてもらわないとね・・・




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では、ここからは岩崎自動車さんから

分解点検そして安心オートマになるまでのご報告です。


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診察台に乗せられて、どんな使われ方、どんなメンテされてきたのかを推測しながら分解始めます。

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そんなに酷くはありませんがヘッドガスケットから少々オイル漏れがあります。

オーバーヒートでの一時的な歪みでも漏れる事があります。





この後、ウォーターポンプとコアプラグを外して高圧洗浄機で水路洗浄してから再び台の上に戻ってきました。

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オイル漏れのところは高圧洗浄でペイントが剥がれてしまいます。


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前回のオイルl交換から約2000km・・

ドレンボルトの摩耗粉は平均より若干多め程度。

ギヤドラムは再使用できるのか・・・・微妙なところです。

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コンバーターは過去に外された形跡があります。

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ロープレッシャーバルブに液体ガスケットが使用されてました。





オートマミッションのフロントパネルを開けてブレーキバンドの消耗具合の点検

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リバースのサーボピストンのリリーフスプリングに遊びがあります。

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押されてないときはこの位置です。


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レバーを押し下げるとこんなに動きました。

リバースバンドはかなり消耗してます。

安心オートマではここは5mmのストロークでセットするところです。


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3速バンドは問題なし。

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2速も大丈夫。

安心オートマでは更にクリアランスを詰めて3,2速バンドのレバーストロークは1mmにセットされます。




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オイルポンプのロータークリアランスは大きく、


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ポンプブッシュも

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消耗して再使用できませんので、リメイク品に交換します。



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スラストクリアランスは大きく

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クランク側に食い込んでしまってるので残念ならがこのシャフトは再使用不可です・・・

中古良品と交換させていただきます。


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3番INから漏れがありましたが、

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バルブの頭をコツンで、

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復活。  現状ではエンジン掛かってれば大丈夫でしょう


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バルブクリアランス測定・・


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だいぶ広がってましたね。 エンジンかかって無くてもガチャガチャと音が聞こえてくるようです(笑)

0.30~0.35mmで調整しておきます。


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実走行77500kmとのことですが、

テンショナーパッドの摩耗からの推測でも8~10万キロです。

チョイ乗りが多いMINIは推測値のほうが大きくなります。



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エンジンとオートマを分離します。

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オートマ内部を分解します。


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バックするときリバースバンドが締め付けるギヤキャリアには深い傷が入っていて

残念ながら再使用できませんでした。







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手前からリバースバンド、3速、2速バンド

リバースバンドが特に消耗して摩擦材が剥がれ金属面が露出しています。

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リバースのサーボピストンシールは切れてました。

このピストンシールが切れた時にバックで滑り始めたと思われます。

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まったーマン1ss
 ブレーキバンドやクラッチ板の摩擦材が減って、油圧の逃げが生じタイムラグになって現れてきます。

(摩擦材が異常に減る原因はオイルポンプのクリアランスが大きいための油圧不足や暖気運転が足りずにオイルの流動性が悪くてサーボピストンまですぐに油圧が伝わらないなど・・・)

今回のケースは、リバースバンドの摩擦材が減ってサーボピストンのストロークがどんどん大きくなって

シフトした時のタイムラグも大きくなります。

サーボピストンのストロークが異常に大きくなるとピストンが頭を振るようになってシール切れを起こします。

シールが切れて油圧保持できなくなったバンドでキャリアケースを掴むので、さらにスリップして

リヤバンドの摩擦材がますます減っていくという悪循環であっという間にバックできなくなってしまうのです。

タイムラグを感じた時にすぐに修理すればギヤキャリアは助かってたと思います。







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メインシャフトの軸受けのクリアランスも

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拡大してました。


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シフトフィーリングへの影響も大きい3速。

ここもドラムブッシュも打ち替えが必要でした。




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フロントの上側のメインベアリングはブロンズが出るところまで消耗してました

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オートマ車ではここのベアリグングが減ってることが比較的多いです。



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中古良品のクランクシャフトを組み付けます。

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規定トルクでキチッと組上げていきます。

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オリジナルのブレーキバンド クラッチ板、オイルシール、Oリングなどは新品に交換され、

その他の内部部品は、再使用できないものは、基準値内の中古良品やリメイク品と交換して

クリアランス調整されて、安心オートマとしてほぼ均一な状態に仕上がります。


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エンジンと合体


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フロントプレートとATケースの干渉がないか確認して組みつけていきます。



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合いマーク確認。


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組み付けていきます。

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コンバーターのオイルを保持するためにも重要なスターターシール


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プレートとのクリアランスが確保されているかチェックしながら組みつけます。


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無交換磁力式オイルフィルターPECSに付いた鉄粉

2年 約1万キロ分の鉄粉です。

このくらいの鉄粉量だと3万キロまでにお掃除が必要な感じですね。

PECSお掃除の間隔はオートマの状態によって大きく変わるので

ドレンボルトに付いた鉄粉量で判断する必要があります。

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きれいになったPECS

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フィルターケースの中には剥がれた摩擦材がメッシュフィルターの手前で堰き止められていました。


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今までは三和オリジナル品にさらにキャメルでベアリンングを2個追加、オイルシールを交換したものを

使用していたのですが、残念ながらオイル漏れを100%根治することができなかったので

現在は三和オリジナル品をそのまま使用することにしました。。

対策品開発中です。。。



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インヒビタースイッチの導通テストして

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組み付け完成です。

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実車に載せて、エンジンかけて 冷間油圧が良好なのを確認して


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エンジンを調子、オートマの変速状態の確認で約30㎞のテスト走行します

タイムラグ、シフトアップ ダウン、すべて良し!




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戻って温間油圧測定です。

前進 7㎏ 良好です


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バック  11.6㎏  良好ですね。

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前進、バックとも 1000回転時の油圧を測定しています。

基準は 前進 5.3㎏以上  バックは 8㎏以上です。




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テスト走行、温間油圧チェックが終わったのでテスト車両から降ろします。


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コンバーター内に鉄粉が残っている安心オートマにした直後でも

ドレンに鉄粉が付いてきてしまいます。

このコンバーターは問題なし。。 

出荷OKです。:




乾杯1

今回も良い安心オートマができました。

気持ちのいいシフトを安心してお楽しみください。




本編に戻ります↓

TMK様 バックできなくなる前に安心オートマにします。







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