曽根です。
これからじっくり手を加えながら楽しんでいくためのベースカーとして
TCD様が数か月前にゲットした95年式オートマMINI。。
メーター読みの走行距離は53600㎞。

MINIのオートマってこんな感じなのかなぁ・・・と思ってましたが
キャメルのおとーと君に試乗してみて全然違うことを知って
安心オートマにすることを即決断

入庫チェックでは・・・・
タイムラグは大きく、ギヤを入れた時のショックもかなり大きめ。
アクセルを入れた時にジャダーも出てますね。
過去にリビルトオートマと交換された形跡があり、
ドレンボルトに付いた大量の鉄粉と、鉄片からはすでにギヤドラムが削られてしまってることがわかります。
そしていやぁ~な予感
白い液体パッキンを使ってるリビルトオートマはもしかしたら・・・・・・
すべての部品が再使用できないかも。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
果たして、TCD様のオートマはどんな状態なのか・・・
岩崎自動車さんからの分解から安心オートマに変わるまでのレポートです。

ボディと繋いでエンジンの振れを軽減させるためのステディロッドの
エンジン側の取付ボルトが中で折れてしまったのが取り出せなかったようで
新たにネジ穴が加工されてました。

中央の黒いゴムキャップの向きが違ってるようです。

正しくはこの方向。

あぁ、刻印がありました。 ”あの” リビルトオートマです・・・
このように刻印が無い場合でも

デフケースとの間や

デフサイドフランジや

メーターギヤハウジングなどに白いガスケット使用してる場合は
その、心配しているリビルトオートマの可能性が高いです。
これから分解していきますが、ほとんどの部品が再使用できないオートマです。

サーモスタットはキャブ用の82℃が入ってました。
インジェクション車は88℃のサーモスタットで適正な燃調になります。
オーバーヒート対策だとすれば、他の根本的な方法が必要です。

燃焼状態は良くなかったようです。
組みあがってから試運転後の出荷前にもう一度プラグ見て燃焼状態を確認します

ブローバイのセパレーターは詰まってました。
クランクケースの内圧は高めだったと思われます。
タイミングカバー側のセパレーターと比較すると、コンバーターハウジング側の方が
先に詰まる傾向です。
時々洗浄してあげることが必要ですね。
キャメルオートではステディブッシュ交換のタイミングで洗浄するようにしています。

三和の対策用キックダウンスイッチが使われてましたが、

稼働範囲が半分くらいしかありません。
キックダウンレバーがATケース内に干渉しています。
シフトアップ、ダウンのタイミングも正常ではなかったと思われます。

フィルターヘッドとエンドパネル間に液体ガスケットを使用してありましたが
ここに液体ガスケット使用はNGです。
ここはフィルターの後なので、はみ出した液体ガスケットがバルブボディに直通です。
フロントのエンドパネルを開けると・・・

真ん中の3速バンドは完全に垂れ下がっています。
ブレーキバンドはかなり消耗しているようです。

リバースバンドも消耗してます

2速バンドもかなり消耗が進んでます。
安心オートマでは、3速、2速とも 親指で下げて動くストロークは1mm程度です。


ポンプローターのクリアランスは規定値越え・・ 交換です。

軸受けブッシュのクリアランスも

倍に広がってました。
オートマにとって重要な油圧の源泉であるオイルポンプはエンジン側の部品です。
オートマ不調でオートマだけをリビルト品と交換するだけですべてが解決するわけではありません。
下の写真のプライマリースラストをご覧ください・・・。

目視でも分かるほど開いてます。


スラストはクランクシャフトに食い込んでいます。
オートマ不調でオートマだけをリビルト品にそれぞれのショップで組み替えるという修理方法が多いのですが、
このように基本的な点検もしないまま組み付けてしまうケースも多く見受けられます。

『安心オートマはエンジンとオートマを一体としてお預かりして
完成検査までの作業を、私一人で行うことは、仕事に責任持つ覚悟と、
自分の安心、そしてご依頼いただく依頼主の安心につながり信頼になると考えています。』
分解点検を続けます。

バルブクリアランスもかなり拡大しています。

カチャカチャと音が聞こえてくるようです・・・。
クリアランスは適正値まで調整してから納めます。
エンジン音を聞いてすぐに違いがわかると思います。

タイミングカバー側のブローバイセパレーターも詰まってます。
ブローバイが抜けずに内圧が上がることでオイル漏れも誘発していたと思います。

テンショナーの消耗具合から見ると、10万キロ以上ですね。
メーターのオドメーターはひと回りで、153600㎞でしょうか・・。

オイルのドレンボルトの部分をミッションケースの内側から見たところ。
ドレンにはヘリサートを入れて修正してありました。
ヘリサートには縫い付け効果はありますが 正常のものと比べて密着度合いが低く
完全にドレンからのオイル漏れを止めることはできません。

エンジンとオートマを切り離してオートマ内部の点検します。

3速ドラムはかなり深く削られてしまってます。

T&Rクラッチ側も2速バンドでかなり深く削られてます。
ギヤドラムはすべて再使用不可です・・・


クラッチ板はここのリビルトオートマのオリジナル品ですね。

ファードクラッチに油圧を送るラインにあるCリングですが
青丸で囲んだ方が純正品
赤丸で囲んだ方は、このリビルトオートマのオリジナル品が使用されてます。

オリジナル品のCリングの下側は叩かれて削れてギザギザになってます。
フォワードクラッチに掛かる油圧漏れが起きてたと考えられ、
前進ジャダーはここが原因ですね。

ブレーキバンドは手前から、リバース、3速、2速です。
ドラムが深く削れてた、3速、2速は摩擦材が剥がれて金属が出てます。

手に持ってる方は2速バンドです。

溶接されたベベルギヤにはクラックが入っていて
遅かれ早かれ剥離してしまうと思われます・・・
同型のリビルトオートマで、過去にこの溶接されたベベルギヤが2つとも剥離して
前にも後ろにも動かなくなったケースがありました。。
① TGS様 突然動かなくなった あるリビルトオートマの分解点検編 ベベルギヤ剥離
② YMD様 突然動かなくなったのは 溶接したベベルギヤが原因でした
バルブボディの分解点検します。
ブレーキバンドが異常に消耗してドラムを削ってしまう原因のひとつに考えられるのが
このリビルトオートマに施された次の改造・・・

手に持ってるのはエンゲージメントコントロールバルブのスプリング

純正では60~62mmあるものを、48mm前後までカットされています。
いままでの経験ではドラムがこのように攻撃されて陥没したオートマはすべてスプリングがカットされてました。
さらに、スティルプレートにも・・

青丸で囲んだところ・・・ 1mm程度の小さな穴を2mmくらいに拡大し

2速に行く油圧ルートも拡大加工してます。

元は2mm程の穴は8mm程度に広げられてあり、
緩やかに油圧をかけるためのチェックボールは除去されてます。
1000㏄時代のオートマの構造に近づけるためかと思いますが
今思えば、残念ながら意味がない改造です。
そして、残念なことにこのような改造を施された、このリビルトオートマはすべてのパーツが再使用できずに
廃棄処分せざるをえません。


貴重なMINIがまた1台ドナーとして分解されることになります・・・悲しいです。
気を取り直して組み付けです・・

オートマと一心同体のエンジン側のオイル経路は、全体の油圧保持のための共同責任です。
なので、クランクメタル、コンロッドメタルはすべて交換。

クランクシャフトは中古良品と交換します。


クリアランスを追い込みながら組み付けていきます。

エンジンまでのフルオーバーホールの場合はブロックの脱脂がキチッとできるのですが
今回はピストン抜いてないので簡易塗装になります。

サフェは入れます。

完全に脱脂してからのペイントよりは耐久は落ちますがご容赦ください。

完成した安心オートマとエンジン合体。。


プライマリースラストも規定値まで追い込んでいきます。

テンショナーパッドを付けましたがチェーンを張れないほど伸びてましたので


チェーンは交換しました。

オートマ車のオイルポンプは新品の供給がありません。
2年前に完成したリメイク品は、理想のクリアランスに調整され
新車に付いていたものより安定した油圧を出力してくれます。

ハウジングプレートに当たらないようにクリアランスチェック

インヒビタースイッチの作動確認OK

補機を取付け、やどかりボディに積み込んでエンジン始動。。
冷間油圧に問題ないことを確認して実走行テストに出ます。

ギヤの入り方、シフトアップ、シフトダウン、変速タイミング・・・
エンジンの調子も確認しながら約30㎞のテスト走行中。。
快調です!

戻ってきてから温間での油圧チェック
前進側 約7㎏ イイですね。

リバースは 約12㎏ うん大丈夫です

入庫時は燻ぶっていたプラグもきれいに焼けてます。
TCD様のMINIに積み込んでエンジンが不調のようなら
制御系に問題があるので点検してください。

今回も良いオートマが出来ました。
今までとは全く違うと思います。
気持ちのいいシフトフィーリングを安心して楽しんでください。
では、本編に戻ります・・・
TCD様 まずは安心オートマとラバコン交換から始めます。

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これからじっくり手を加えながら楽しんでいくためのベースカーとして
TCD様が数か月前にゲットした95年式オートマMINI。。
メーター読みの走行距離は53600㎞。

MINIのオートマってこんな感じなのかなぁ・・・と思ってましたが
キャメルのおとーと君に試乗してみて全然違うことを知って
安心オートマにすることを即決断


入庫チェックでは・・・・
タイムラグは大きく、ギヤを入れた時のショックもかなり大きめ。
アクセルを入れた時にジャダーも出てますね。
過去にリビルトオートマと交換された形跡があり、
ドレンボルトに付いた大量の鉄粉と、鉄片からはすでにギヤドラムが削られてしまってることがわかります。

白い液体パッキンを使ってるリビルトオートマはもしかしたら・・・・・・
すべての部品が再使用できないかも。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
果たして、TCD様のオートマはどんな状態なのか・・・
岩崎自動車さんからの分解から安心オートマに変わるまでのレポートです。

ボディと繋いでエンジンの振れを軽減させるためのステディロッドの
エンジン側の取付ボルトが中で折れてしまったのが取り出せなかったようで
新たにネジ穴が加工されてました。

中央の黒いゴムキャップの向きが違ってるようです。

正しくはこの方向。

あぁ、刻印がありました。 ”あの” リビルトオートマです・・・
このように刻印が無い場合でも

デフケースとの間や

デフサイドフランジや

メーターギヤハウジングなどに白いガスケット使用してる場合は
その、心配しているリビルトオートマの可能性が高いです。
これから分解していきますが、ほとんどの部品が再使用できないオートマです。

サーモスタットはキャブ用の82℃が入ってました。
インジェクション車は88℃のサーモスタットで適正な燃調になります。
オーバーヒート対策だとすれば、他の根本的な方法が必要です。

燃焼状態は良くなかったようです。
組みあがってから試運転後の出荷前にもう一度プラグ見て燃焼状態を確認します

ブローバイのセパレーターは詰まってました。
クランクケースの内圧は高めだったと思われます。
タイミングカバー側のセパレーターと比較すると、コンバーターハウジング側の方が
先に詰まる傾向です。
時々洗浄してあげることが必要ですね。
キャメルオートではステディブッシュ交換のタイミングで洗浄するようにしています。

三和の対策用キックダウンスイッチが使われてましたが、

稼働範囲が半分くらいしかありません。
キックダウンレバーがATケース内に干渉しています。
シフトアップ、ダウンのタイミングも正常ではなかったと思われます。

フィルターヘッドとエンドパネル間に液体ガスケットを使用してありましたが
ここに液体ガスケット使用はNGです。
ここはフィルターの後なので、はみ出した液体ガスケットがバルブボディに直通です。
フロントのエンドパネルを開けると・・・

真ん中の3速バンドは完全に垂れ下がっています。
ブレーキバンドはかなり消耗しているようです。

リバースバンドも消耗してます

2速バンドもかなり消耗が進んでます。
安心オートマでは、3速、2速とも 親指で下げて動くストロークは1mm程度です。


ポンプローターのクリアランスは規定値越え・・ 交換です。

軸受けブッシュのクリアランスも

倍に広がってました。
オートマにとって重要な油圧の源泉であるオイルポンプはエンジン側の部品です。
オートマ不調でオートマだけをリビルト品と交換するだけですべてが解決するわけではありません。
下の写真のプライマリースラストをご覧ください・・・。

目視でも分かるほど開いてます。


スラストはクランクシャフトに食い込んでいます。
オートマ不調でオートマだけをリビルト品にそれぞれのショップで組み替えるという修理方法が多いのですが、
このように基本的な点検もしないまま組み付けてしまうケースも多く見受けられます。

『安心オートマはエンジンとオートマを一体としてお預かりして
完成検査までの作業を、私一人で行うことは、仕事に責任持つ覚悟と、
自分の安心、そしてご依頼いただく依頼主の安心につながり信頼になると考えています。』
分解点検を続けます。

バルブクリアランスもかなり拡大しています。

カチャカチャと音が聞こえてくるようです・・・。
クリアランスは適正値まで調整してから納めます。
エンジン音を聞いてすぐに違いがわかると思います。

タイミングカバー側のブローバイセパレーターも詰まってます。
ブローバイが抜けずに内圧が上がることでオイル漏れも誘発していたと思います。

テンショナーの消耗具合から見ると、10万キロ以上ですね。
メーターのオドメーターはひと回りで、153600㎞でしょうか・・。

オイルのドレンボルトの部分をミッションケースの内側から見たところ。
ドレンにはヘリサートを入れて修正してありました。
ヘリサートには縫い付け効果はありますが 正常のものと比べて密着度合いが低く
完全にドレンからのオイル漏れを止めることはできません。

エンジンとオートマを切り離してオートマ内部の点検します。

3速ドラムはかなり深く削られてしまってます。

T&Rクラッチ側も2速バンドでかなり深く削られてます。
ギヤドラムはすべて再使用不可です・・・


クラッチ板はここのリビルトオートマのオリジナル品ですね。

ファードクラッチに油圧を送るラインにあるCリングですが
青丸で囲んだ方が純正品
赤丸で囲んだ方は、このリビルトオートマのオリジナル品が使用されてます。

オリジナル品のCリングの下側は叩かれて削れてギザギザになってます。
フォワードクラッチに掛かる油圧漏れが起きてたと考えられ、
前進ジャダーはここが原因ですね。

ブレーキバンドは手前から、リバース、3速、2速です。
ドラムが深く削れてた、3速、2速は摩擦材が剥がれて金属が出てます。

手に持ってる方は2速バンドです。

溶接されたベベルギヤにはクラックが入っていて
遅かれ早かれ剥離してしまうと思われます・・・

前にも後ろにも動かなくなったケースがありました。。
① TGS様 突然動かなくなった あるリビルトオートマの分解点検編 ベベルギヤ剥離
② YMD様 突然動かなくなったのは 溶接したベベルギヤが原因でした
バルブボディの分解点検します。
ブレーキバンドが異常に消耗してドラムを削ってしまう原因のひとつに考えられるのが
このリビルトオートマに施された次の改造・・・

手に持ってるのはエンゲージメントコントロールバルブのスプリング

純正では60~62mmあるものを、48mm前後までカットされています。
いままでの経験ではドラムがこのように攻撃されて陥没したオートマはすべてスプリングがカットされてました。
さらに、スティルプレートにも・・

青丸で囲んだところ・・・ 1mm程度の小さな穴を2mmくらいに拡大し

2速に行く油圧ルートも拡大加工してます。

元は2mm程の穴は8mm程度に広げられてあり、
緩やかに油圧をかけるためのチェックボールは除去されてます。
1000㏄時代のオートマの構造に近づけるためかと思いますが
今思えば、残念ながら意味がない改造です。
そして、残念なことにこのような改造を施された、このリビルトオートマはすべてのパーツが再使用できずに
廃棄処分せざるをえません。


貴重なMINIがまた1台ドナーとして分解されることになります・・・悲しいです。
気を取り直して組み付けです・・

オートマと一心同体のエンジン側のオイル経路は、全体の油圧保持のための共同責任です。
なので、クランクメタル、コンロッドメタルはすべて交換。

クランクシャフトは中古良品と交換します。


クリアランスを追い込みながら組み付けていきます。

エンジンまでのフルオーバーホールの場合はブロックの脱脂がキチッとできるのですが
今回はピストン抜いてないので簡易塗装になります。

サフェは入れます。

完全に脱脂してからのペイントよりは耐久は落ちますがご容赦ください。

完成した安心オートマとエンジン合体。。


プライマリースラストも規定値まで追い込んでいきます。

テンショナーパッドを付けましたがチェーンを張れないほど伸びてましたので


チェーンは交換しました。

オートマ車のオイルポンプは新品の供給がありません。
2年前に完成したリメイク品は、理想のクリアランスに調整され
新車に付いていたものより安定した油圧を出力してくれます。

ハウジングプレートに当たらないようにクリアランスチェック

インヒビタースイッチの作動確認OK

補機を取付け、やどかりボディに積み込んでエンジン始動。。
冷間油圧に問題ないことを確認して実走行テストに出ます。

ギヤの入り方、シフトアップ、シフトダウン、変速タイミング・・・
エンジンの調子も確認しながら約30㎞のテスト走行中。。
快調です!

戻ってきてから温間での油圧チェック
前進側 約7㎏ イイですね。

リバースは 約12㎏ うん大丈夫です


入庫時は燻ぶっていたプラグもきれいに焼けてます。
TCD様のMINIに積み込んでエンジンが不調のようなら
制御系に問題があるので点検してください。

今回も良いオートマが出来ました。
今までとは全く違うと思います。
気持ちのいいシフトフィーリングを安心して楽しんでください。
では、本編に戻ります・・・
TCD様 まずは安心オートマとラバコン交換から始めます。

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