曽根です。




OGW様。。普段は奥様が毎日の足で使ってるMINIですが


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ご主人がたまに乗ったらバックが滑ってるのに気づいて即レッカー入庫


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実走行64700㎞  ほぼ毎日使うけど暖気運転は短いかも・・・と。

1回に乗る距離も少な目。。

コールドスタートの回数が多く、オイルが本領発揮する温度に達する前に止める

これは現代の車にとってもシビアコンディションといって車にはハードな使い方です・・。


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オイル交換して700㎞時の ドレンボルトの摩耗粉。。





バックできなくなくした犯人は何か・・・

オートマを分解してその真相を探ります。。。。


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オートマの名医 岩崎さんの診察台に乗せられて さぁ、これから分解します。


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ウL-ターポンプとコアプラグ。。

錆の状態からみて水路メンテナンスが良くなかった時期もあったようですね


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ドレンボルトはキャメルでチェックして拭き取らずにそのままの状態です

ドラムを削ってしまってるのか・・・微妙なところ。。


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燃焼は2番だけやや黒いですが問題なさそう。。。


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コンバーターを外して さらに分解していきます。


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オイルフィルターケースを開けてみると・・・

部品が足りませんでした。。。

紙フィルターを押さえるスプリングとプレートが無く、これではフィルターを通らず

オイルは素通りしてしまって、フィルターが付いてない状態です。

これではエンジンもオートマも守ることはできません・・・

実は、このような事例は年間で数件は見ます。。






オートマのフロントプレートを開けてブレーキバンドのチェック。。

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リヤのブレーキバンドのレバーは大きくストロークしてしまい

かなり消耗してるのがわかります。


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3速バンドの消耗も進んでいますね。


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2速だけは大丈夫そう。。。




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オイルポンプのガスケットが切れてました。

無条件で7㎏かかる油圧は、ここから漏れてカムメタル側に逃げてしまいます。

貴重な油圧が最初から損失してしまってます。


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オイルポンプのクリアランスも大きく、

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ポンプ軸のブッシュの消耗も大きく

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ポンプはリメイク品と交換してブッシュも打ち替えます。

これから各部のオイルクリアランスをキチッと詰めて油圧漏れを最小限にして

全体の油圧損失を少しでも無くそうと組上げる安心オートマにとって

油圧の源泉であるオイルポンプは最重要ポイントになります。



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プライマリースラストも拡大してます。


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市販品では調整しきれないのでワンオフ品を使います。


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クリアランスはしっかり追い込んでおきました。


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圧縮は4気筒とも正常でした。


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バルブクリアランスは・・・

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2倍近くに広がってました。。。  標準は0.35㎜です。

調整しておきます。

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テンショナーの消耗から、64700㎞が実走であろうと思われます。

走行距離としては多いとは言えず、本来ならまだまだ働き盛りといったところです。


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さぁ、いよいよエンジンとオートマを切り離し

オートマ内部の点検です。


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あぁ 残念。

リバースのドラムはすでに深い傷が入って削られてしまってました、。

これは新品の供給がなく中古良品と交換です。

1台に1個しかないギヤドラムは、 いわばヒレ肉みたいなところ??




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手前のが、リバースのブレーキバンド。。。

摩擦材が剥がれて金属が剥き出しになってますが

まだ半分くらいは摩擦材が残ってました。


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もう少し、気づくのが早ければドラムに傷が入らなかったかも・・・・

タラれば・・ですが。


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リバースバンドを締め付ける サーボピストンピストンのシールも切れてしまってました。

ここから油圧が漏れて、しっかりバンドを締め付けることが出来来てなかったことになります。


まったーマン1ss オイルポンプの油圧不足 → オートマのブレーキバンドの締め付け不足 →

バンドとドラムのスリップで摩擦材が消耗しはじめる → サーボピストンのストロークが増える →

暖気不足でオイルの流動性が悪いときにリバースギヤに入れるとエアハンマーで一気にピストンを押し出す →

サーボピストンがシリンダーから飛び出してシールが切れる・・・   →

油圧がかからずブレーキバンドが滑って更に摩擦材が減る・・・・という消耗へのスパイラルで加速度的に消耗していってしまうのです。




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デフのベークライトスラストは滑落してしまってました


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オイルポンプの吸い口のある、ストレーナーボトムには、

あちこちから『消耗の情報』が集まってきます。

ブレーキバンドやクラッチ板の摩擦材に混じって、デフのブロンズスラストもありました。

ベークライトスラストやブロンズスラストが無くなって偏芯下回るようになるデフのアウトプットシャフトにより

何度デフサイドシールを交換してもオイル漏れを繰り返すことになります。



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フォワードクラッチはつるつるで溝がありません。

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T&Rクラッチはそれより更につるつる・・・・・

消耗しすぎて限界を超えてます。

湿式多板クラッチはプレートを挟んでその間の浸されたオイルの表面張力のような力で密着しますが、

暖気不足で、冷えていてまだ流動性が良くないオイルは、その仕事を全うすることができません。


まったーマン1ss

粘度の高い鉱物油は特にその傾向が強いので更に十分な暖気運転が必要になります。

低温でも流動性があり、低い温度でも十分な潤滑を得るには、マルチグレードでベースオイルも良いものを要求されます。

とくにOGWさんのようなシビアコンディションでの使用には、暖気運転はもちろんですが、

『良いオイル』 をチョイスする必要があります。  

例えばワコーズなら、トリプルRの 5W30 くらいがお勧めです。




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3速ドラムの軸受けブッシュも

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消耗してましたので打ち替えます。



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クランクのスラストはOK。

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メタルクリアランスが広がればそこから油圧が漏れて油圧が下がります。

元々オートマが大量のオイルを必要とするので、エンジン側に回る油圧は

マニュアル車よりもやや少なめなので、メタルからの油圧漏れは致命傷に繋がります。


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キチッと トルクで締め付けていきます。

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元々漏れやすい半月シールは、厳選された国産品を使用して

適度なシール材を使って慎重に組み付けます。


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チェーンの伸びは問題なし。 そのまま使います。

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テンショナーは新品に交換

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カバーと干渉しないか確認しながら組み付けていきます。

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PとN を認識するインヒビターSWの導通確認。


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オイルフィルターは磁力型のPECSです。

1次摩耗で出る摩耗粉を磁力でほぼすべて磁力で捉えることで2次、3次摩耗を防ぐことができます。

特にオートマはもともと多くの摩耗粉を発生しやすいので有効です。

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キックダウンSWは、三和トレーディングのオリジナル対策品

純正品よりは断然漏れないのですが、まだ少し漏れるものもあり、まだ対策は続きます。


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補機も付けられて、実車に積み込み準備完了。。。


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実車に積んでエンジン始動。。。

オートマに掛かる冷間油圧チェックして 問題ないので・・


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そのまま約30kmのテスト走行に出かけます。

タイムラグ ギヤの入り、変速(シフトアップ、シフトダウン) の状態、

イイですね。。。


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温間油圧チェック

前進側 約7kg  十分あります。。



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リバース油圧  13.5kg  十分です



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入庫チェックのときよりも完全燃焼に近づきました。。!!



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安心オートマ完成しました。




乾杯1

今回も良いオートマが出来ました。

定期的なオイル管理、暖機運転で

末永く気持ちのいいシフトをお楽しみください。




本編に戻ります・・・

OGW様 バックの滑り。ご主人が気が付いて安心オートマにします



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