
ミニのエンジンとミッションは上下の二階建ての構成になっております。
FFでのスペースの問題から、このような合理的な設計になっております。
さすがイギリス、ロンドン、2階建てバスの国ですね。

ミッション内部にアプローチするには、まず上階のエンジンを下し分割させ
なくてはなりません。
修理の手間はFRの縦置きドライブが羨ましいです。
エンジンオイルもエンジンとミッションの潤滑を共有しているので、
要求されるオイルの特性もオートバイに近いです。

車体からエンジンを下し、エンジンとミッションを分割して、そしてやっと
ギヤたちと対面できます。
向かって左側がメインシャフト、右側がレイギヤで、真ん中に横たわるチューブ
がオイルパイプで底部にストレーナがありオイルを吸引しております。

抜きだしたメインシャフトです。
左側から
1速スパー/1・2速ハブ/2速ヘリカル/3速ヘリカル/3・4速ハブ/4速ヘリカル
の順番で配置されてます。

新品部品を揃えてみました。
シンクロリングは真鍮と鉄製
セカンドギヤと
セレクターフォーク

シンクロリングです。同形状ですが、材質が違います。
左が真鍮製社外製で右が鉄製オリジナルタイプです。
真鍮製は柔らかいため、ギヤテーパー部への攻撃性が弱くなじみやすい
傾向ですが、耐久性は鉄製の方があります。
1速ギヤと2速ギヤ変速時、そして3速ギヤと4速ギヤの変速時の回転を
同期に近づけスムーズに歯車を噛み合わさせる役目があります。

鉄製シンクロの焼きの大きさが違います。
重ねてある鉄製シンクロの一番左側とその他のシンクロの
変色しているところに注目してください。
変色が大きいリングは円に歪みが発生し、ギヤに擦り合ったときにガタがあり、
そのガタが同調不足を起こし変速不良で、ギヤが鳴りの症状が出ます。

新品のセカンドギヤです。

メインシャフトにハブを組み付けします。
ペグの押し戻しがあり難儀です。
あー、もう一本手が欲しい。

ケース内にギヤを組み上げます。
シムの選択にてクリアランスの調整をします。上部のレイギヤは直結です。
同期噛みあい式で、各ギヤは常時噛みあっていますが、仕事をしているギヤ以外はフリーになっています。
ハブのアウターのスライドにより各ギヤの駆動が断接されます。
アウターがスライドしてギヤとロックさせるのを、シンクロが介在し回転を同期させることによってスムーズに
行うことが可能になります。
ハブのアウターのスライドは運転者のシフトレバー操作でセレクターフォークを動かすことにより発生します。

デフケースを取付けします。

エンジンブロックとミッションケースの接合部にはガスケットがあり
手前はクランクのセミサーキュラシールです。
ミニでは良くオイル漏れがある箇所ですが、ここまで分解しないと
シールの交換は出来ません。

エンジンブロックと合体させます。

クラッチ動力側です。
上から
オイルポンプ
メインシャフト
アイドラーがなくって
ヘリカルのインプットギヤ
が見えます。
クランクから来た動力をカウンターギヤを介してトランスミッション側へ伝え
ます。

フライホイールとクラッチを組み付けます。
クランクの往復運動では死点があり出力変動しますが、フライホイールは自身の重量の慣性力で
回転運動を一定に保ち滑らかにします。
クラッチはエンジンで発生した動力を任意に断接します。

限られたスペースに積むために非常に合理的に設計されています。
























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