曽根です。


TMK様から発進でアクセル強く踏むとガガガッって振動するようになった・・・とのご連絡です。

ゆっくり踏めば症状は出ないとのことですが、乗り続けるとフォワードクラッチがバラバラになってしまった事例があるので走行せずにレッカーで入庫いただきました。

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前回オイル交換と漏れないフィルターケース取付の時は快調だったんですけどね・・

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症状チェックの前にオイル点検します

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オートマMINIはオイルが少ないと滑ったり空回りするので先ずはオイル点検からです。

色は濃くなってますが量は大丈夫でした。

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チョイ乗りが多いんですね・ガソリン臭は強めです。

オイル交換が必要です。チョイ乗りが多いMINIは走行距離よりも何回乗ったかかが基準になりますね


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ブレーキフルードOK


では試乗チェック行ってきます

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暖機終わってゆっくり発進すれば何事も無いように普通です・・・

いや、2速に入った時にキュッと音がしました。

フォワードクラッチが悲鳴を上げてる音ですね

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仰るように強めにアクセルを踏むとガガガッと振動を伴ってジャダーがでます。

フォワードクラッチのスチールプレート破損で間違いなさそうです。

TMK様は車両保険の故障の修理代が出る特約に加入されてるので保険会社のアジャスターさんに症状確認してもらってからの着手になります


5月13日追記

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保険会社のアジャスターさんが状況確認で来店です

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同乗していただき発進時と変速時のジャダーを確認していただきました


そして・・
保険会社から受理されたので修理着工いたします





5月29日   鈴木追記します。

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エンジンを降ろす前にオイルを抜きます。
PECSで鉄粉捕獲した後のドレーンの鉄粉は多いですね。
フォワードクラッチ周辺からの摩耗粉の可能性はあります




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ラジエターシュラウドが割れてました。 

金属が薄いので溶接しにくいので中古を探す等他の方法で解決します

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エンジンが降りました。

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ヘッドガスケットから水漏れしてます。

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こちらも漏れてますね。

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スティディーロッドのブラケットが剥がれかけてます。

積込みの際に溶接修理します



5月30日追記

九州岩崎自動車さんに旅立ちます

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分解点検報告を待ちます。。


~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
九州岩崎さんから分解点検レポート届きました。

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作業台に乗せられこれから分解点検します


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背面にはオイル漏れの他に水漏れがあります

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前面からもヘッドとの間から水漏れがあります


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鉄粉は少し付いてますがオートマMINIとしては標準の範疇でしょうか・・

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プラグは4本ともやや焼け気味ですがバランスは良さそうです

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コンバーターシールは中国製のTTOでした。

2021年からキャメルの安心オートマで使用するコンバーターシールは耐熱200℃のフッ素ゴム製の自社オリジナル品を使用してます

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PECSのフィルターメッシュには小さい粒が引っかかっていました。

これらの中には磁石で付かない非金属物質も含まれるので2025年からはさらに細かなメッシュフィルターで対策しています。



リークテストします

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4番はOK

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3番もOK


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2番は圧力抜けがありますね

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ポートをテープで塞いでいるのでピストン側からブローバイへ抜けています

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1番は大丈夫です

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オイルポンプは再使用できます


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プライマリースラストは拡大していました


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クランク側の陥没が大きすぎるので再使用できません。

今回は中古良品と交換することにします

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プライマリーブッシュは再使用できます。


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ヘッドを付けた状態での回転抵抗が・・

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少ないですね・・

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バルブクリアランスはやや広がってますが圧縮抜けには関係ありません

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ヘッドのナットが変更されていました。

左が純正品です


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2,3番のシリンダー背面(奥側)が茶色の部分はオイルです。

ヘッドガスケットに付着したカーボンが多すぎます

ヘッドボルトの錆びもあります

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ヘッドのメクラは3か所ありますが1番錆びやすい中央がそのままでした


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両端のメクラは作成して処置してありました。


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シリンダー壁のクロスハッチが全く残っておらず矢印の部分は光ってます。

このクロスハッチは微細な溝が無数に刻まれていてオイルを保持する役割があります。

これが無くなってしまうと油膜が無くなり圧縮を維持できずエンジン破損の原因にもなるほどの重要なものです。

このままでは使用できないのでクロスハッチを付けるか・・・ブロック交換するかこの後の状況を見ながら判断していきます


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シリンダーは2/100mmの消耗です。

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ピストンを前後に揺らすとカタカタ動きます。

ピストンリングは固着しているようで張りがありません。

クロスハッチ再生でピストンは抜くのでピストンリングは交換します


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エンジンとオートマを分離します


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ドラムに傷は無く再使用できそうですね


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ブレーキバンドは正常摩耗ですが今回分解したので新しいものと交換します

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フォワードクラッチはツルツルでした。

この奥にジャダーの原因であるスチールプレートがありますが割れてバラバラになってるので後ほど取り出します


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トップ&リバースクラッチもスリッドが無くなりかけていました

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トップ&リバースハブの取付けナットが緩んでいたのでハブを抜きましたがスプラインの消耗が見られます

ファイナルとハブの交換が必要です

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T&R(トップ&リバース)のOリング中、一番上をバックアップとしてニトリル素材をしようしているところですがかなりの硬化が進んでいました。

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こちらはスターターシールですが・・・

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これも同じ素材ですのでやはり硬化しています

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サーボピストンシール3本、ファードクラッチのピストンに入るリップシールも同様でした


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ファードクラッチを分解して割れてしまったエンドプレートを取り出します


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粉々に割れてしまってました。


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硬化したOリング・・・

今までオイル交換ごとにゴムの硬化予防にも効果があるというSOD-1を添加してまいりましたが現実には硬化していたことを受けて、今後はゴムの膨潤を目的とした添加剤はオイルと同じWAKO'Sの『ミッションパワーシールド』使用することにしました。 シールの膨潤効果とキャビテーション防止機能に期待したいと思います



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クランクシャフトを分解します

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メインメタルのフロント/エンジンブロック側が減ってブロンズが顔をだしてました。

この症状はコンバーター内部に十分なオイルが吸い上げられる前でコンバーターが偏芯して回ることでクランクシャフトも真っすぐに回っていなかったのではないか・・・と考えられます

1週間~10日ほどでコンバーター内のオイルは半分くらいがオートマケースに落ちてしまうので再始動の時は毎回泡ぶくオイルでコンバーターとクランクシャフトが偏芯して回っていることになります


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カムメタルやバルブリフターはそのまま使用できます




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ブロック側を分解整備します

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ヘッドの密着を良くするためにヘッドのスタッドボルト穴をテーパーに抉りを入れます


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ブロックの上面をオイルストーンで整えます

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歪みは大丈夫です。 そのまま使えます。


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オイルリングは溝に埋まって固着してました

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ピストンリングは交換します


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クロスハッチを入れました

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新しいピストンリングです

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ピストンを洗浄して新しいピストンリングを組付けました


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スライダーでピストンを入れていきます

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エンジンとオートマは油圧を共有してるのでオートマ側だけの油圧管理だけでは片手落ちです。

エンジン側のオイルポンプやメタルクリアランスが広ければ油圧の逃げから全体の油圧が落ちてしまうので安心オートマは親子メタルは毎回必ず交換します

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キャップをトルクで締めて

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完成した安心オートマとドッキングします


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今回はブロックオーバーホールも必要だったので必然的にヘッドも外したのでオーバーホールしました

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ヘッド組付けて

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バルブクリアランスも確認。

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ヘッドを取り付けた状態での回転抵抗は・・

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正常になりました。 ピストンリングが効いてしっかり圧縮が掛かってます。

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クランクシャフトは加工済みの中古良品と交換しました


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プライマリースラストも追い込んでます。

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オイルポンプ取付けは銅製のパッキンを使用

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ボールベアリングも交換しました。


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コンバーターシールとの接触面はグリスで馴染ませます

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ロックワッシャーは確実に起こします

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インヒビタースイッチの導通確認。。OK

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磁力型オイルフィルターPECSに付着した鉄粉・・

仕事してくれてますね

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ざっと清掃してOKです。

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完成したエンジン&オートマをテスト車両に載せます


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エンジンかけて水温が適温になるまで暖機した時のオートマ油圧測定。。

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前進油圧 730kpa 良好ですね

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リバース油圧 1320kpa 十分です

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油圧OKなので実走行テストに出ようとしましたが後ろをみると排気から白煙がモクモク・・


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1.2番がオイリーでした。

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バルブステムシール8個ともMINI用のOEM製品を使用していたので

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IN側をスバル製に交換してみます

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白煙はおさまったかに見えました

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しかし、走行すると再び排気から白煙がモクモク・・・

オイル下がりではないとすれば消去法でいくとオイル上がりということになりますが・・・


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今回は別のブロックを用意して点検を行い再組付けします


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ピストンも別の良品を用意しました

ピストンリングはもちろん新品を組みなおします

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1/100mmの程度のよいブロックです


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組付ける前にピストンも再チェックします

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ブロックとピストン,コンロッドは準備完了。



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別ブロックなので親子メタルも交換

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組付け完了で新しいエンジンブロック完成

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白煙が出たエンジンを降ろします。


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降ろしたエンジンは再点検したところシリンダー壁に施工したクロスハッチの溝が深すぎたようでした。

このブロックはボアアップ用のベースエンジンとして再使用することにします



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オートマには問題ないのでそのまま使用いたします


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オートマとドッキング。

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ヘッドも付け替えます

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バルブクリアランス調整して完了


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再びテスト車両に載せます。。


オートマ油圧を確認してから実走行テストに向かいます。

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エンジンは白煙は消え快調です。

安心オートマはタイムラグ、スムーズな変速、キックダウンなどすべてのテストを行います。

現在キャメルの安心オートマは100㎞に及ぶテスト走行を行っています



エンジンもオートマも快調で工場に戻ってオートマの温間油圧測定します

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前進油圧 710kpa 良好です


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リバース油圧1230kpa 良好ですね


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無負荷時のインマニの負圧 MAP値も良好

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1速にいれてコンバーターに負荷を掛けてMAPチェック

コンバーターベアリングは大丈夫ですね

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そのまま1分間負荷を掛け続けてのMAP測定

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51kpaで問題なしです。


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エンジン止めて再度イグニッション電源いれて油圧ランプが点灯するまでの時間で油圧保持力の簡易テスト

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4秒45で基準値の範疇です




最後に各部のオイル漏れチェックです。。

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オイル漏れ箇所も無いのでこれで出荷できます。

お待たせしました






~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~



6月13日  鈴木追記します。


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エンジンを載せていきます。

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その前にスティディーロッドのブラケットを溶接します。
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溶接出来ました。

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溶接したところは錆びやすいのですぐにペイントします。

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マスターマウントブラケットのガスケット類を新品にします。

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エンジンマウントも新品に交換します。


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スティディーロッドブッシュ新旧交代の儀。


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ファンシュラウド新旧交代の儀。

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ラジエターストーンガードも新品です。

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ECUガードラバーも交換します。


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ヘッドカバーを洗浄します。

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ヘッドカバーガスケットを交換します。

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エンジンオイル入れます

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クーラント

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クーラントブースター入れて完成。。

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ミニモニでECUチェック

マルチ画面の数値はすべて基準値内でOK


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水温90℃


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吸気温 29℃


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電圧14.1v OK


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Oセンサー稼働してます


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燃調補正も良好


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ホイルナットはトルクレンチでしっかり締めます

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ここで電動ファン回り始めました。。

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その時の水温は96℃ 良好ですね

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最後の点検でバックランプが点かないのが発覚。。。

原因はバックスイッチでした。。

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クーラーは真空引きしてからガスチャージします


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クーラーの風量が『3』が出なかったのでファンレジスター交換です。


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完成しました。。


6月5日追記

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テスト走行・・ 快調ですね

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シフトもスムーズ やっぱり安心オートマですね


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Dレンジで1速発進・・

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入庫時は激しいジャダーがありましたがスムーズそのもの♪

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気持ちいですね。。

今回エンジンもフルオーバーホールだったのでエンジンも快調!!

6月21日追記

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本日引き取りで牛来手にただ来ました。

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暖機運転3分~5分 必ずお願いします。。

ありがとうございました。

最初は1000㎞以内でいらしてください。







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